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WRC用エンジン開発に携わるスズキ

門田 修 (四輪エンジン 第二設計部 第三課)

エンジン一筋

現在はエンジン設計部に所属しており、今回のSX4 WRCにも使用されるJ20Aエンジンの出力性能向上のテストを担当しています。J型はエスクード、エリオ、SX4など様々な車種に採用されていますが、そのすべてのエンジンの実験に携わってきました。中学生くらいからエンジンには興味を持っていて、大学でもエンジンを専攻、スズキ入社後もずっとエンジン設計部に所属していますので、エンジン一筋ですね。私がWRC用エンジンの開発チームに参加したのは、J20Aの設計にも携わり実験もしていてこのエンジンを良く理解していると言うことで私に白羽の矢が立ったと、立てた方から聞きました(笑)。今は週2日WRC用エンジンのパーツ加工や組立、週3日は本社で量産エンジンの実験です。本社ではエンジン性能の更なる向上のための実験をしています。量産車の場合は、出力向上もそうですが環境性能や低燃費も両立しないといけませんから、そこが大変なところですね。

WRC用エンジンに改造されたJ20A

最初に見たときは、ここまで突き詰めてやるんだ、って正直驚きました。私たちの常識では改造しないようなところまで手が入っていますので。開発チームと作業する中で、いくつか量産用エンジンの改良点の話しなどもしています。ラリー用エンジンは一部量産用エンジンのパーツを使わなくてはならないレギュレーションがありますので、量産品の強度をもっと上げて欲しいといった意見などは聞いています。細かい点ではボルト穴の位置に不都合があるとか、シリンダーヘッドの強度をもっと上げて欲しいなどありましたので、そういったところは量産エンジンに改良を加えているところです。やはりWRC用のエンジンは量産用に比べ3倍近い馬力を出していますので、ベースになる量産エンジンの方にも改良を加えないとラリーでもたなくなってしまう。もともとJ20Aはある程度のパワーアップも許容する十分すぎるくらいの強度と信頼性があるのですが、3倍近い馬力となると厳しくなりますね。

J20Aエンジンの素性の良さ

J20Aはニュートラルなエンジンといいますか、偏った設計ではないので、許容範囲が広く扱いやすいエンジンです。その辺りがWRCでも活きてくるんじゃないかなと思います。スズキのクルマは日本や北米・欧州だけではなく、世界中様々な国で販売されていますので、耐久性・信頼性について非常に高いレベルを求められます。エンジンについてもそうで、使われるガソリンの品質も国や地域によって様々ですし、オイル交換などのメンテナンスも人それぞれですから、そういうあらゆる状況を考慮してスズキのエンジンは作られているんです。特にJ20Aはエスクードに搭載されていて、中南米の高地や中近東の砂漠地帯なども走りますから、信頼性についてはかなりのマージンを持って設計されています。WRCでもその部分がそのままアドバンテージとなると一概には言えないですが、信頼性を支えるベースにはなっていると思います。

ラリーカーと市販車への架け橋に

ラリーで培われた技術がそのまま市販車にフィードバックされるということは無いかも知れませんが、私がここでラリー用エンジンの開発に携わることで、「この部品はもう少し精度を上げた方が良いのではないか」とか「こうすると2イベントに耐えられるんだ」というところを目の当たりにするじゃないですか。ラリーカーと市販車の両方を見ることによって、例えば「もっと軽い部品を使うことが出来る」というような事を提案できるし、そうすることで最終的にスズキの市販車の性能向上につながっていけば良いかなと思います。市販車でも高地テスト、寒冷地テストというのはやるのですが、それ以上にWRCは厳しい環境下で戦いますから、非常に良い経験になると思います。しっかりこの経験を市販車の方にフィードバックしないといけないなと感じています。

WRC参戦に向けて

エンジンを組ませてもらっているのですが、それがラリーカーに搭載されてWRCに出るかと思うと、とても嬉しく思う反面、緊張もしています。今年は2戦にテスト参戦するわけですが、いきなり出て上位入賞というのは難しいとは思いますが、結果がどうなるか楽しみにしています。
これからスズキがWRCに挑戦するわけですが、少しでも私が貢献できればと思っています。
まずは10月のフランス・コルシカでのSX4 WRCの走りを皆様に見ていただければと思います。