スズキ・ワールドラリーチーム「サルディニア島上陸記」

サルディニア島の面積はおよそ2万4千平方kmで、シチリア島に次いで地中海で2番目の大きさを誇っています。四国とほぼ同じ大きさですが、人口は160万人と少なく、しばしば“人より羊の方が多い”と表現されます。日本で一般的な“サルディニア”という表記は英語のSardiniaに由来しており、現地ではSardignaやSardinna、イタリア語ではSardegnaと綴られ “サルデーニャ”と発音されます。


サルディニア島はヨーロッパ大陸の中でも最も古い大陸の一つと言われており、古くから人が生活した痕跡を残しています。古代地中海世界を舞台に繁栄していた海洋民族にとってこの島は重要な基地のひとつとなり、ギリシャ人にイクヌーサHyknousa(ラテン語でイクヌーザIchnusa)と呼ばれていました。また、“神が岩を足で踏みつけて島が出来た”という伝説に基づいて“足跡”、ギリシャ語 で“サンダリオンSandalyon” とも呼ばれ、今日のサルディニアの語源になっています。現在でもサルディニア島名産のビールにIchnusaの名が残っています。伝説の通り、島は岩盤で出来ていて、ラリーのサービスパークが置かれたオルビアの工業港では島内で切り出された石が運ばれてゆくのを見ることができました
     

今回、スズキのサービスエリアには新しいホスピタリティの設備が導入されました。黄色くペイントされたバスが火曜日にサービスパークに到着すると、これをベースに、フレームを組み、テントをかぶせ、床にパネルを敷きつめ、みるみるうちに立派なホスピタリティ・エリアが出来上がりました。今回、ゲストやプレスにプレゼントするためのノベルティグッズ(非売品)もラインナップが揃い、ホスピタリティのレベルが一段とアップしました。ホスピタリティは、お客様向けのVIPエリアとチーム員が休憩したり食事を取ったりするエリアとに分けられていて、チームのエリアではラリー車がSSを走っているときは皆でモニターに表示されるSSの区間タイムを見て一喜一憂しました。

ラリー・イタリア・サルディニアのセレモニアルスタートは島内でも有数の別荘地、ポルト・チェルヴォで木曜の夜8時から行われました。ホテルや別荘が立ち並ぶ街中を海のほうに降りてゆくと、豪華なクルーザーが並ぶハーバーが見えてきます。コンコースにラリーカーが並び、一台また一台とスタートゲートをくぐるたびにコンコースの両脇に集まった観客から歓声が上がりました。サマータイムのため、夜8時でもこの明るさで、セレモニーが終わったころちょうど日没を迎えました。
     


いざラリーがスタートすると、メカニックとエンジニアはサービスのたびに大忙しになります。目指したのは2台完走。サービスに入ってきた車はまずジャッキアップ。そして各部の点検や交換作業、また、走行データの採取が手際よく行われていきます。降りてきたドライバーはテクニカル・マネージャーの稲垣にインプレッションを伝えます。サービスの時間は限られており、また、決められた人数のメカニックしか車に手を触れられないため、あらかじめ決まっている作業分担にしたがって正確な作業をすることが要求されます。

     


サービスが無い時間はサービスパーク内を散策すると色々面白い展示やアトラクションに出会います。今回は森林協会のブースにサルディニアの森がコンパクトなジオラマで再現されていたり、クルーザーのカタログを置いたショップが出展していたりしました。JWRCチームのパドックを歩いていると愛嬌のある犬と遭遇。この犬はイタリアの在来種でナポリタン・マスティフNeapolitan Mastiff、イタリア語でマスティノ・ナポレターノMastino Napoletanoといって、古代ローマ時代にコロッセオで闘犬をする犬にもなった由緒正しい犬だそうです。また、別な一隅にはピレリがラリーカーのシミュレータ(ゲーム)を置いていて、ラリーファンや各ラリーチームのスタッフなどが腕を競っていました。サービスパークにいって、見逃してはならないのがラリーグッズショップ。各チームのグッズが揃うテントや、チームごとのブースがあり、日曜の昼のサービスのときなどは特に賑わっていました。


     


WRCの最終SSが設けられたコスタ・ズメラルダ沿いの道に面して立っている“ホテル・カラ・ディ・ボルペ”はクルーザーも停泊できる超高級ホテルで、ヨーロッパの富豪たちに親しまれており、「007 私を愛したスパイ」でロジャー・ムーア扮するボンドとボンドガールが泊まったホテル、あるいは、故ダイアナ元英皇太子妃が死の直前まで恋人と過ごしたホテルとしても知られています。もちろん、チームメンバーが宿泊したホテルはそのような豪華なホテルではありませんが、それでもリゾート地らしく優雅な佇まいでした。
今回チームメンバーが宿泊したのはサービスパークから車で30分ほどの港町、ゴルフォ・アランチです。ホテルの庭の先には海が見え、徒歩5分くらいのところに漁港がありました。漁港に行くと入り口付近にスズキエンジンを搭載したボートが2艘泊まっていました。この漁港で、今回のラリー出張中最初で最後となる猫を見ました。日本の猫のように、魚を食べるのでしょうか・・・?


     


サルディニアの海岸部の多くのレストランでは、豊富に水揚げされる魚介類を贅沢に使った料理が名物になっていました。蛸の煮物、鰯・小肌といった青魚のマリネ、それにムール貝の酒蒸し…どれも、魚好きにはたまらないラインナップでした。また、加工品で有名なのはボラやマグロの卵巣を天日干ししたボッタルガ。日本でも“からすみ”として知られる珍味ですが、もともとは地中海近辺で作られていたのが江戸時代に伝来したのだそうです。日本では大概そのままスライスして酒肴にしますが、サルディニアでは粒にほぐしてスパゲティに絡めるのがポピュラーです。ちょうど、日本のたらこスパゲティの要領です。食事の最初に出てくるパンの盛り合わせには、見慣れない薄くて固いパンが入っていました。これはサルディニア特有の平焼きパンで、カリカリしていておいしかったです。下の3枚の写真は、左から羊乳チーズのクリームをサンドしたラビオリを揚げて蜂蜜をかけたデザートと、島内で湧出する天然水、そして菓子パンとカプチーノというイタリアらしい朝ごはんの図です。



 

 

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