ラリー前のひと時〜嵐の前の静けさ〜

ラリー・アルゼンティーナ開幕前、ヘッドクウォーターやサービスパークの置かれるコルドバ地方の街ヴィラ・カルロス・パスは穏やかに晴れていました。

メキシコと打って変わってアルゼンチンのリゾート地として開けただけあって、湖の湖畔に大小様々な別荘やコテージホテルが散在し、日本の軽井沢のような趣があります。アルゼンチンは、日本からだと乗継が順調に行っても24時間以上かかります。今回現地入りしたスタッフは30時間もの移動時間をかけて現地に入ったため、着いたときには疲労困憊でしたが、この景色にはちょっと癒されました。写真に写っている湖はサン・ロケ湖。夏場はこの湖に流れ込んでいる川で遊泳できるそうです。


街中で、日本では見られないFunというSUZUKIの車を発見しました。アルゼンチンでCKD(Complete Knocked Down;海外現地工場向けに半完成品で出荷されて現地生産)されている車です。


ラリーが開催される一帯はアンデス山麓の高原地帯で、ちょうど夏が終わり秋に入るという時期柄、天気が非常に不安定です。こんな体調を崩しやすい陽気に良く合うのが、アルゼンチン名物の「マテ茶」。アンデス地方の人々にとっては欠かせない飲み物で、街のあちらこちらでマテ茶を飲んで入る模様が見掛けられます。マテ茶の特徴は容器で、マテと呼ばれるひょうたん製の容器に茶葉とお湯を入れ、ボンビーリャと呼ばれる銀製のストローをさして直接そこから飲みます。同じ容器を使って仲間内で回し飲みするのが習慣になっています。茶葉は、日本茶の緑茶とほうじ茶のようにグリーンとローストが選べ、ローストは香ばしいですがグリーンは少し苦い感じがします。いろいろなミネラルやビタミンを含んでいて健康に良く、血圧を下げる、気を落ち着かせるなどの効能があるそうで、「飲むサラダ」の異名もあり、苦味にさえ慣れれば結構病み付きになりそうです。好みで砂糖やスパイスを足して飲んでいる人もいます。


アルゼンチンは人口の何倍といわれる数の牛が育っている牧畜の国で、食事の主役は基本的にお肉です。アサードは昔ガウチョ(カウボーイ達)が野外で牛を薪で焼いて食べたのが始まりといわれています。今でもバーベキューは国民食(?)で、ラリー中にコースサイドで煙を上げてバーベキューをしている観客はアルゼンチンの特徴になっています。


レストランや家庭のキッチンでも、薪を燃料にじっくりローストするので油が抜けてあっさりした感じになり、肉も柔らかく食べやすいので、現地の人みたいに1kgとまでは行きませんが、私達もラリーに備えてたっぷり食べました!焼いた肉の味付けは塩コショウだけというのが主流ですが、最近ではレストラン毎にソースや彩りに趣向を凝らしたものもよく見られます。ちなみに、付け合せはなんといってもポテトです。

アルゼンチンの肉料理はアルゼンチンワインとの相性もばっちりです。16世紀のスペインによる植民地化から始まるこの地のワイン作りは、20世紀半ば以降、アンデス山脈の盆地を中心に大規模な発達を遂げました。アンデス山脈沿いの盆地は昼夜の寒暖差が大きく、また、冬と夏がはっきり分かれており、適度な降雨量もあり、地下水や雪解け水を利用した灌漑設備も揃っていて、ワインを生産するのには最高の環境です。しかも虫が少なく土が肥えているので、アルゼンチンのブドウ栽培では一般的に、農薬や殺虫剤を使用しません。ビオワインが流行の昨今、世界中で人気の的のアルゼンチンワインですが、生産量こそフランス、イタリア、スペイン、米国に次ぐ世界第5位(!)を誇るものの、アルゼンチンからのワイン輸出は世界第11位に過ぎません。というのも、国内消費量(および1人当たり消費量)もルクセンブルク、フランス、イタリア、ポルトガル、スイスに次ぐ世界第6位とかなり多い部類に入るため。アルゼンチンワインの80%以上は赤ワインで、原料になっているぶどうの品種は主に「マルベック」。マルベックならではのしっかりした香りと味わいは牛肉料理に相性ぴったりなので、国内消費が多いのも納得です。近年の1人当たり消費量は平均で年間約40リットルといわれており、750ml瓶に換算して53本、1ヶ月に4〜5本!これでも、60年代末くらいの「90リットル以上」よりは減っているのだそうです。ビールや炭酸飲料に流れている人も多いということでしょうか。


アルゼンチンの食文化にはイタリアやスペインの文化が色濃く反映されていて、特に料理はイタリア料理が一般的です。スーパーなどではヨーロッパからの輸入菓子も多く見かけます。今回、アルゼンチンの名物を、と思って買ったお菓子はスペイン産のものでした…。ちなみに、どれも素朴な甘みでアーモンドや蜂蜜の優しい風味が生きていておいしかったです。

このように、アルゼンチンを満喫しているかに見えるスタッフ達ですが、その裏では天気予報からは不穏な情報が流れていますし、メカニックやエンジニア達は抜かりなく作業に取り組んでいました。そしてこの2日後から、あの苛酷なラリーが始まったのです・・・。


 

 

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