スズキ、今シーズン最大のチャレンジ

それぞれに魅力的な年間のWRCイベントの中でも、フィンランドは特筆すべき地位を確立している。ユバスキラ近郊を舞台に開催されるラリー・フィンランドは、生きた伝説ともいえるほど長い歴史を誇る。滑らかでよく締まったグラベルの路面をラリーカーが飛ぶように走るこのラウンドは、年間15ラウンドの中でも最もハイスピードなラリーと称されており、各ステージをいかに速く走るかが勝敗を分けるだろう。

コースに緩急をもたらしジェットコースターのような上り下りを作っているクレスト(※波が立っているような地形でジャンプ台のような役割を果たす)は、ラリー・フィンランドの特色の一つに数えられる。ラリーカーは場所によっては数メートルの高さまで浮き上がり空を飛ぶことになるだろう。ドライバーの勇気と自信、そしてコ・ドライバーの綿密かつ正確なペースノートが求められるこのラリーでは、ひとつのささいな失敗が大きな悲劇を招く可能性があり、クルー、そしてチーム全員にミスのない仕事が要求される。

ラリー・フィンランドも他の多くのラリーと同様、経験がものをいう。SX4 WRCを駆る2人のスズキのドライバー、フィンランド出身のトニ・ガルデマイスター選手とスウェーデン出身のP-G・アンダーソン選手は、ともにスカンジナビア半島の出身であり、幸いフィンランドには慣れ親しんでいる。とはいえ今年の多くのステージは新しく設けられたものであり、経験の浅いドライバーにもチャンスが生まれた。今年新設されたステージの多くは昨年のステージを逆走するもので、いずれも高速ステージだ。一方で、昨年よりも幅の狭いテクニカルなステージも用意されており、平均速度はそれほど上がらないだろう。

ニュージーランドのステージにも似た自然とスピードの上がる高速ステージの数々を擁し、例年SSでの平均時速が130km近くに達するほどのラリー・フィンランドだが、その多くのコーナーはブラインドコーナーとなる。フィンランドを制するためには、良いリズムをつかみ、先が見えない時でもペースノートを信じ、コーナーからコーナーへ流れるように車を走らせなければならない。エンジンパワーも重要だが、ブレーキングの時間をどれだけ減らせるかがタイムを切り詰める鍵となってくる。そして、それこそ、地元出身のドライバーが長けていることだ。

来週のフィンランドの天気は夏らしく暑いとの予報が出ており、熾烈なラリーをさらに厳しいものにするだろう。ラリーは31日木曜日の晩、キレリに設けられたスーパー・スペシャルステージ(SSS)で幕を開け、日曜までの4日間にわたって総距離340.42kmに及ぶ24のSSを走り、8月3日日曜日の昼下がりにその幕を閉じる。


カー・ニュース:
スズキ・ワールドラリーチームは今回のフィンランドにおいて一歩進化を遂げたSX4 WRCを披露する。今回出走する2台のSX4 WRCは、設計を一新し新規にホモロゲーションを取得したパーツが組み込まれ、シーズン前半に比べて極めて高い信頼性と性能を獲得している。

ホモロゲーションさえ取得すれば、マニュファクチャラーはシーズン中に新しいパーツを使ったラリーカーを投入することができる。今回SX4 WRCに新たに組み込まれたパーツはいずれも従来のものよりも軽く信頼性が高いもので、SX4 WRCの競争力を高めるのに貢献するだろう。

ガルデマイスター選手とアンダーソン選手の駆る2台のSX4 WRCはパリ郊外のスズキ・ワールドラリーチームのファクトリーで組み上げられ、フィンランドの路面に適したサスペンション・セッティングを施されている。両選手とも、ラリー直前の月曜に新しいSX4 WRCのセッティングのためのテストを予定している。フィンランドはハイスピード・ラリーである上、ジャンプする機会も多いため、特にダンパーについては適切なセッティングを正確に施すことが求められる。


ドライバー・ニュース
シーズン前半の最終戦となったトルコ以来、ガルデマイスター選手とアンダーソン選手はそれぞれにこの2カ月弱の「夏休み」を満喫し英気を養ってきた。今は、約2か月を経て開催されるラリー・フィンランドを前に、両選手とも再びSX4 WRCの運転席に乗り込むのを心待ちにしている。

2週間前、ガルデマイスター選手は実家のあるクヴォラを拠点に開催されたフィンランドの国内ラリー選手権、「OKラリー」に出場した。私有のラリーカーの助手席にガールフレンドをコ・ドライバーとして乗せたガルデマイスター選手は快走を見せ、イベントを制したWRカーの選手からそう遠くないタイムをマークしている。


トニ・ガルデマイスター選手 コメント
「(OKラリーは)なかなか楽しかったよ。でも、あのラリーに出たのにはマジメな目的があるんだ。クヴォラ近辺のステージは今回のラリー・フィンランドで走るステージとよく似ている。ラリーカーにしばらく乗っていなかったから、そのラリーに出て、競技のリズムに浸ってクレストを越える正しいラインを見つける練習をするのはいいことだったと思うよ。月曜に新しいパーツをつけたSX4 WRCに乗るから、その時にはきっと今回のラリーをどういうペースで走れるか見当がつくだろうな。現実的に、まだまだライバル達の車のエンジンパワーは僕らのより勝っているだろうと思う。フィンランドではエンジンパワーがかなり重要なんだ。それでも土地勘を生かして何とか頑張るよ。僕は過去、フィンランドではいつもかなり速く走っているけれど、同時に不運なことも多少はあった。でも、今回は自信がある。何回かでいいからトップ5に入るタイムを出せれば、SX4 WRCの進化をみんなに知ってもらうことができると思うよ。」

P-G・アンダーソン選手 コメント
P-G・アンダーソン選手にとってフィンランドは過去JWRCで優勝を経験しているイベントである。彼はこの夏を実家のあるスウェーデンで過ごし、フィットネスに励んできた。6月のトルコ以来、特にイベントに出場してはいないが、来週末開幕するラリー・フィンランドについては楽観的にとらえている。

「フィンランドは年間のイベントの中でも大好きなイベントのひとつなんだ。多分、僕のドライビングスタイルに合っているんだと思う。今までもフィンランドでは良い走りができている。今回初めてWRカーで走るけれど、とても楽しみだよ。他のラリーと比べれば、フィンランドはよく知っているつもりだ。でも、きっと実際には新しく使われるステージが多いことが僕にとっての助けになるんだろうな。新しいコースならば、地元のドライバーが有利になりすぎないだろうから。チャレンジングなイベントだから、ポイントを獲ることができたらいいと思っている。そして、トラブルなしで走りきって信頼性をアピールしたい。きっとそうできるはずだよ。」


チームニュース:
スズキ・ワールドラリーチームにとって、このWRCの夏休みは非常にハードな作業期間となった。もちろん、フィンランドから投入する新たなSX4 WRCの準備のためだ。チームでは、シーズン前半を通じて取り組んできた改良の仕上げとして信頼性の増強を重視しつつ、SX4 WRCの走行性能を上げることに努めてきた。さらに、チームでは2台の新しいSX4 WRCをゼロから作ってきた。その2台においては、強度と耐久性を落とすことなくボディシェルの重量を落とすなど大掛かりな変更が盛り込まれている。

月曜日のテストでは、投入する全ての新しい部品の慣らしを兼ねて試走をするとともに、新しい車両のシェイクダウンを行う。これは同時に、スズキ・ワールドラリーチームが今年のコントロールタイヤであるピレリのソフトコンパウンドタイヤをフィンランドで初めて使う機会になる。


スズキ・ワールドラリーチーム プリンシパル 田嶋伸博 コメント

「これまで、今年の世界ラリー選手権シーズン前半への参戦を通じて私たちは多くの厳しい教訓を得てきました。どれも、経験を通じて学習していくという意味では欠かせない教訓ばかりです。フィンランドでは、改良を加えたSX4 WRCを武器に、いくつかの教訓から学んだことを実戦で活かしてみたいと思っています。フィンランドは今年1番の高速ラリーですが、同時に最もタフなラリーになることでしょう。」



 
   
 
 
 
 
 

 

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