SX4 WRC、再びターマックラリーに挑戦

スズキ・ワールドラリーチームにとって、ラリー・ドイッチェランドはモンテカルロ以来のターマック(舗装路)ラリーとなる。しかし、路面状況がステージごとに著しく変わるこのラリーの路面は、一般的なアスファルト舗装にはほど遠い性質を持っている。ラリー・ドイッチェランドは、かつて別々に開催されていたそれぞれに歴史のある3つのラリーを統合して生まれたイベントであり、現在もデイごとに大きく異なる風景や路面にその名残を感じることができる。
デイ1の舞台となるモーゼル川流域はドイツ有数のワイン生産地で、モーゼルワインといえば数あるドイツワインの中でも最高級のブランドとして知られている。狭い道幅、長い直線を急なヘアピンでつないだようなコース設計、そしてブドウの根を覆う敷き藁で滑りやすい路面が特徴的なこのエリアのステージでは、正確なペースノートとハンドブレーキのテクニックが攻略の鍵を握っている。
続いてバウムホルダーの軍事演習場を舞台に開催されるデイ2は、3日間のうち最もスリリングな1日となるだろう。かつて戦車を試運転するためにも使われたコンクリート敷きの路面が有名なパンツァープラッテのステージには、クルーを悩ませるさまざまな罠が待ち受けている。濡れると非常に滑りやすいコンクリートのコースは縁が鋭く切り立ち、コースアウトしかけたラリーカーのタイヤを無残にパンクさせるだろう。また、コース脇に置かれたコンクリートの巨大なブロックは、ラインを外したラリーカーを情け容赦なく破壊する。ドイツ語でヒンケルシュタインと呼ばれているそのブロック群は、もともと暴走した装甲戦車をくい止めるために設けられたものだ。このようなステージでは、ひとつでもミスをすれば痛い目に合うことになる。
最終日デイ3は、3日間の中で唯一、普通のアスファルト路がラリーカーを出迎える。緩やかなカーブと平らな路面の小気味良い高速ステージは、内容の濃いこのイベントを締めくくるのにふさわしい刺激的なフィナーレを演出するだろう。
ルクセンブルク大公国との国境にほど近い、ドイツ最古の都市トリーアがラリー・ドイッチェランドの拠点となる。ラリーのスタート地点とゴール地点、そして毎年多くの観客を集めるスーパースペシャルステージは、古代ローマ時代に起源をもつこの街のシンボル、ローマ時代に建てられた城門「ポルタ・二グラ」周辺に設けられる。3日間のラリーを通じて、選手たちは総距離353.75kmとなる19SSを走る。
ラリー・ドイッチェランド公式サイト:www.rallye-deutschland.de


カーニュース
前回のラリー・フィンランドの前に各部に改良を加えられ大きな進化を遂げたSX4 WRCにとって、今回のドイツはアスファルトの上を走る初めての機会となる。今年1月にモンテカルロのアスファルトを走った時と比べ、多くの部品が耐久性を増し、軽量化を施されている。
基本性能を向上するためのボディシェルの軽量化とエンジンのパワーアップを筆頭に、サスペンションやディファレンシャルギアのセッティング、その他細部にわたって数々の改良が施されたSX4 WRCは、従来に比べて走行性能が格段に向上しており、特にハンドリングやトラクション、グリップは大きく改善されている。また、冷却系や車体底面の強化により、車両の耐久性は大幅に向上した。
実際、フィンランドではトニ・ガルデマイスター選手がポイントを獲得する快挙を見せており、SX4 WRCの進化はここドイツにおいてもドライバーの心強い味方となるだろう。
とはいえ、本格的なWRCデビュー以来まだ9戦しか経験していないSX4 WRCとスズキ・ワールドラリーチームには、まだ多くの課題が残されている。SX4 WRCのレベルアップ、ドライバーとチームのスキルアップを図る上でラリー・ドイチェランドの多様なコンディションは大きなチャンスとなるだろう。


ドライバーニュース
トニ・ガルデマイスター選手とP-G・アンダーソン選手はどちらも以前ラリー・ドイッチェランドを走った経験がある。ガルデマイスター選手は過去6度WRカーでこのラリーを走っており、2004年には最高記録となる4位入賞、また昨年は7位入賞を果たしている。年間のイベントの中で最高速ラリーと評される前回のフィンランドでドライバーポイントを獲得したガルデマイスター選手は、今回のラリー・ドイッチェランドに向けて強気な自信をのぞかせている。
対照的に、アンダーソン選手は過去1度だけ、3年前JWRCのイベントとなった際に参戦して以来のドイツ出場となる。今回初めてWRカーでドイツを走ることになるアンダーソン選手は、WRカーでの経験はガルデマイスターに遠く及ばないが、3年前のJWRCではスイフトスーパー1600で4位入賞を果たしており、今回SX4 WRCで走るのを心待ちにしている。

ガルデマイスター選手 コメント
「僕はターマックラリーが好きなんだ。ドイツのアスファルトはかなり特殊だけどね。いろんな意味で、ドイツのステージはモンテカルロによく似ていると思う。どちらも、路面からのグリップが刻々と変化して全く安定していないし、数時間後に天気がどうなるか見当もつかない。でも、なぜなのかは自分でもよくわからないけれど、僕はそういうコンディションと相性がいいみたいだ。ドイツは、部分的にハイスピードで走るところもあるけれど、単純にパワーがあれば速く走れるというタイプのラリーではない。むしろどこでも常に車を良い状態に保つことが求められるし、何より重要なのはトラブルなしに走りきることだ。もしこのラリーを問題なく走り終えることができれば、僕たちには大きなチャンスがあると思うよ!」

P-G・アンダーソン選手 コメント
「とてもわくわくしているんだ。僕はドイツのステージのことをよく知っているわけではないけれど、ミスさえしないで走れば、知らない場所でもポイントが獲得できることはわかっている。今年は完全に初めての場所を走る機会も多かったからね。今回の僕の目標は、しっかりアスファルトを走る経験を積んで完走することだ。もちろん、それでポイントが獲れたらなによりだよ。」


チームニュース
前回のラリー・フィンランドから2週間を経ずして、スズキ・ワールドラリーチームの眼差しはすでに残り6戦となったWRCの一番先頭に待ち構えている3種類の舗装路面が組み合わさったターマックラリーに向けられている。
これまでグラベルイベントを通じて進めてきた車両の開発は、今回、大きなステップアップを遂げるだろう。ラリー・ドイッチェランドはドライバーにとってもエンジニアにとっても新しい挑戦だが、そもそも今年SX4 WRCで初めてWRCに全面参戦しているスズキ・ワールドラリーチームにとってはどのイベントも新しい挑戦といえる。これまでのイベントでも、チームは路面に応じてSX4 WRCのセッティングを速やかに適応させてきたし、SX4 WRCは数々のステージで有望なタイムをマークしている。

スズキ・ワールドラリーチーム チーム・プリンシパル 田嶋伸博 コメント
「ドイツは多くのターマックラリーの中でも特に難しい部類に入るでしょう。しかも私たちにとっては7か月ぶりの舗装路です。SX4 WRCをドイツで走らせるのは、今回、ラリー本番が初めての機会となりますから、その日その日の特徴的な路面に応じたセッティングを速やかに見つけられるよう、うまく微調整しなければいけません。私達はきっとここで多くのことを学ぶでしょう。経験上、このラリーはトラブルさえなければいい成績を収めることが可能だと思っています。ですから、ドライバー陣にはとにかくリスクを避けるように伝えています。それと同時に、チームではSX4 WRCの性能と信頼性を改良していくことに一層注力してゆきます。」





 
   
 
 
 
 
 

 

Rd.15 GB
MORE>>


Rd.15 GB
デイ3
MORE>>
 
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
   
 
 
 
 
   
 
 
  伝説の舞台 ウェールズ
MORE >>
  ラリー・ジャパン パドック編
MORE >>
  トニ選手と、P‐G選手のジャパン・ツアー
MORE >>




#10 メカニックの素顔:ステファン・エリクソン
MORE>>


#09 メカニックの素顔:エサ・ハッキネン
MORE>>