挑戦/WRCフル参戦への序奏
スズキ・ワールドラリーチーム、初戦モンテカルロに向け出走


昨年のコルシカとウェールズでのテスト参戦を経て、スズキ・ワールドラリーチームは今、スズキにとって初めてのFIA世界ラリー選手権への全面参戦に乗り出そうとしている。ファーストドライバーにフィンランド出身のトニ・ガルデマイスター選手、セカンドドライバーにスウェーデン出身のP-G・アンダーソン選手という布陣だ。
2008年のWRC、年間全15戦の口火を切るのが、由緒ある名イベント、ラリー・モンテカルロ。1911年、モータースポーツの歴史のごく初期に誕生し今日まで継続されてきたモナコを拠点とするこのイベントは、数ある有名なラリーの中でも別格に数えられる。ラリー・モンテカルロの結末は、華やかなカジノのルーレットのように運や巡り合わせが左右する。毎年、ラリー・モンテカルロの路面状況は一つのステージの中でも刻一刻と変わり、クルーの予断を許さない。朝日が輝く中スタートして曇天のした雪氷の上を走ることも珍しいことではない。移ろいやすい天候に、スケートリンクのような氷の膜など幅広い表情を見せる路面がクルーとマシンを翻弄するだろう。
ここ2年連続で、ラリー・モンテカルロはフランスのアルデッシュ地方に位置するヴァレンスという町からスタートする。開幕を飾るのは木曜日の晩組まれている2本のナイトステージ。金曜日と土曜日には同地方を舞台に合計12本のスペシャルステージが設定されている。日曜日は拠点がモナコに移り、名高いチュリニ峠を走るクラシックなステージが一番の見所となるだろう。午後に設けられているスーパースペシャルステージではF1モナコGPでおなじみのサーキットの一部をラリーカーが疾駆する。
スペシャルステージの総距離は365.09km。表彰式はモナコ王宮の正面で、現地時間15;30から開催される。

今回の参戦はスズキにとって7回目のモンテカルロへの挑戦だ。とはいえ、過去の参戦はFIA世界ジュニアラリー選手権の一環であり、スズキの開発してきたWRカー、デビューイヤーとなる今年に向けて黄色と白のスポーティなカラーリングが施された真新しいSX4WRCにとっては初めてのラリー・モンテカルロとなる。
2007年中にテスト参戦したコルシカとGBでの経験が生かされ、さらに、昨年末にテスト車両を用いて実施した両ドライバーによる1000kmに及ぶテスト走行からフィードバックを受け、SX4WRCのディファレンシャルギアやサスペンションのセッティングは、今回のモンテカルロに向けて着実に進化してきている。そのほかにも、細かなセッティング等の改善が随所で進められてきている。
ライバルチーム同様、今年導入されたピレリの新コントロールタイヤは勝負の行方を左右するだろう。従来と異なりこのコントロールタイヤにはパンク時の走行を支えてくれるムースは入っておらず、トレッドパターンは1種類のみ。コンパウンドは1ラウンドあたり1種類だけ選択できる。もっとも、トレッドについてはタイヤに溝を切ることが許可されているし、モンテカルロでは必要ならば氷上でグリップ゚を稼ぐ目的でショートスタッドをタイヤに打つことも許される。
スズキ・ワールドラリーチームはモンテカルロの特徴的なコースで、さらに2008年の各ラウンドでSX4WRCが勇姿を見せられるよう努力を重ねている。

スズキ・ワールドラリーチームでは2台のWRカーを走らせる。#11を走らせるのは32歳のトニ・ガルデマイスター選手。モンテカルロを最も好きなイベントの一つに挙げているトニ選手にとって、今回は9度目のラリー・モンテカルロである。2006年にはラリー・モンテカルロのポディウムに上がっており、他の5回ではポイント圏内に食い込んでいる。彼のコ・ドライバーを務めるのは、昨年ウェールズ・ラリー・GBでテストドライバーのセバスチャン・リンドホルム選手をサポートした、ベテランのトミ・トゥオミネン選手だ。

トニ・ガルデマイスター選手 コメント:
世界ラリー選手権でスズキの一員として走ることが出来るのはとても嬉しいよ。順調にいけば、僕たちはここモンテカルロでポイントにありつけるかもしれない。僕たちの車はまだ若いから、熟成されたマシンを駆るフロントランナーと競り合うようなペースではいけないだろうけど、全体的なセットアップや信頼性は良好だよ。SX4はとてもコンパクトなホイールベースで、車の向きを機敏に変えられる。だから、モンテカルロのようなツイスティな高速コースを攻略するにはとっても有利だと思う。モンテカルロはいつでも状況を予測するのが難しいイベントだけど、様々な路面状況というのは今回の僕たちには好都合だ。僕は特に日曜日のSS15と17−チュリニ峠のステージが楽しみだ。独特なステージで、僕はそれをとても気に入っているんだ。

一方、27歳の若手スウェーデン人ドライバー、P-G・アンダーソン選手にとって、今回のラリー・モンテカルロは紛れもなく人生ではじめてのWRC参戦だ。コ・ドライバーを務めるのはヨナス・アンダーソン選手。P-G選手にはWRカーでイベントに出ること自体が初めての経験だが、500kmあまりのテスト走行を通じてSX4WRCについてはある程度の手ごたえを得ている様子だ。ラリー・モンテカルロはジュニア選手権時代、2004年と2005年にスズキ・イグニススーパー1600でこなしてきたイベントでもある。今回のラウンドを通じてもう一回り成長が望まれる。

P-G・アンダーソン選手 コメント:
始まるのが待ち遠しいよ。今回僕は、完走し、出来る限りの経験を得ることを最優先する。ジュニアラリー選手権のスーパー1600を卒業してワールド・ラリー・カーに乗るというのは本当に大きな飛躍だよ。マシンの応答が1600に比べて何もかも速い。僕の目標の達成には、ペースノートを確実に取ることが一つの鍵になると思う。スーパー1600ではまったく気にならなかったようなコーナーで、WRカーだとすごく意識させられる、そんなコーナーがあるんだよ。このモンテカルロでは、とにかく堅実に走りたい。モンテカルロの次に控えているのは僕にとってのホームイベント、スウェディッシュラリーだから、それに向けて自信をつけたいんだ。

スズキ・ワールドラリーチームにとって、今回のラリー・モンテカルロはマニュファクチャラーとしての栄えある歴史の序章となるだろう。今年から、テクニカルマネージャーとして稲垣秋介が、チームマネージャーとして川田輝がチームに加わり、万全の参戦体制となっている。
ラリー本番に先立ってチームは20日日曜日にモンテカルロに入り、今年のラリーのオープニングイベントに参加する


チームプリンシパル 田嶋伸博 コメント:
私たちが始めてのWRCシーズンに乗り出すにあたり心がけるのは、1歩1歩着実に歩み、確実な進化を遂げることです。スポーツである限り、結果はもちろん重要視されますが、だからといって実力を超えたことは出来ません。デビューしたてのマシンには、あえて言いますが、必然的にマイナートラブルが予想されます。だからこそ、トニ選手には彼の能力と経験を活かしSX4WRCの改善に助力してくれることを期待しています。P-G選手については、まだキャリアのスタートラインに立っている状態ですから、とにかく良くWRカーのことを、そしてトップレベルの走りを学んでほしいと思っています。いずれにしても、私たちは、チーム一丸となって、スズキのコンパクトカーが世界中で認められるように、という共通の目的に向かって最大限の努力をしていきます。

 
   
 
 
 
 
 

 

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