スズキ・ワールドラリーチーム幸先の良いWRCデビュー
初陣モンテカルロでポイント獲得

スズキ・ワールドラリーチームのセカンドドライバー、P-G・アンダーソン選手は、彼にとって、そしてチームにとって正式なWRCデビューイベントといえる今ラウンドを8位という好成績で飾った。国際的なモータースポーツのシリーズ戦としてF1と双璧をなす最上級の選手権であるWRCの、シリーズ中最も由緒正しい華やかなラウンド、ラリー・モンテカルロでのポイント獲得達成は、チームが歩むこれからの1年間を明るく照らしている。

世界ジュニアラリー選手権からステップアップしてきた若きスウェーデン人ドライバーは、デイ1で起きたいくつかの問題をものともせずステージタイム5位をマークする健闘を見せ、さらにその後もトップドライバーたちに迫る好タイムを危なげなく刻んでドライバーとしての資質の高さをアピールした。そして最終的に、若干の氷雪が白く彩りを添えるアスファルト舗装された峠道を舞台にした総距離365.09kmに及ぶスペシャルステージをアクセル全開で走り抜き、スズキ・ワールドラリーチームに初陣でのトップ8という順位をもたらしたのだ。

他方ファースト・ドライバーのトニ・ガルデマイスター選手は、デイ3終了時点でP-G選手同様にポイント獲得圏内の順位をキープしていたが、最終日デイ4の5つのステージを見ることなくリタイアを余儀なくされた。彼もステージタイムとしては6位に食い込む走りを見せており、スズキ・ワールドラリーチームが世に出した新しいWRカー、SX4 WRCが上位のベテラン陣営と立派に競えるほどの実力を備えていることを実証している。

ラリー・モンテカルロの最終日デイ4の最大の見せ場は、何と言っても歴史的な名勝チュリニ峠を含む2つのステージだ。往年さながらに何千人もの観衆が集い、思い思いのチームやドライバーを応援して大いに賑わう様子は、そこを走るドライバーにも深い感銘を与える。また、モナコF1グランプリのコースの一部でもあるモナコ市街地に設けられたスーパースペシャルステージもとても趣があり、やはり感慨深い。しかし、P-G・アンダーソン選手はそれらに浮かれることなくスズキ・ワールドラリーチームに今ラウンドのポイントをプレゼントすることに集中し、今回の成績を達成した。

SX4 WRC
P-G・アンダーソン選手の駆るSX4 WRC#12は、初日のヴァランス近郊に設けられた2本のナイトステージでドライブシャフトの破損のため大きなタイムロスを喫したものの、残ったデイ2からデイ4までを通じて概ね順調に走り、高い信頼性を見せた。また、P-G・アンダーソン選手は今日のサスペンションセッティングをやや柔らか過ぎると評したが、昨年末行ったモンテカルロ・テストにおいて確立されたセッティングはおおよそ的を射ており、スズキ・ワールドラリーチームのメカニックは今回、サービスタイムに行う作業をその日の路面状況に応じてハンドリングを向上させるためのごく僅かの調整のみに留めている。これらはチームにとって勇気付けられる成果だが、スズキ・ワールドラリーチームはそれに甘んじることなく、ローンチコントロールシステムおよびサスペンションシステムとディファレンシャルギアの更なる性能向上に焦点を合わせ今後の開発を進めていく。最終日にしてトップ8を実現したP-G・アンダーソン選手は、一つ前の選手とわずか約1分半差でのフィニッシュであり、車輌に体を馴染ませる努力が実っている。

トニ・ガルデマイスター選手は、デイ2でのターボ過給圧のトラブルによる不調を取り返し、デイ3の半ばには暫定総合10位まで上ってきてポイント圏内でのゴールを皆に確信させた。しかし、彼の操るSX4 WRC#11はデイ3の最後SS14のラマストルでオーバーヒートの兆候を見せる。フィンランド出身のガルデマイスター選手とそのコ・ドライバーのトミ・トゥオミネン選手は何とか車輌をヴァランスでの最終サービスに持ち帰ったが、簡単に対処することのできないエンジンの損傷が発覚したため、チームはリタイアを決めた。パリのファクトリーに車輌を戻し、一刻も早く根本的な原因を突き止め最適な処置を施すための苦渋の決断だ。

両選手とも、今年新しく導入され、今回のイベントで初めて実戦投入されたピレリ製コントロールタイヤについては特に問題点を挙げていない。

ドライバーコメント:
P-G・アンダーソン選手は今回のWRCデビュー参戦に先立ってわずか500kmほどのテスト走行しか行っておらず、ラリー・モンテカルロの実戦を経てようやくSX4 WRCでの総走行距離が1000kmに達したというくらいだが、今回のイベント4日間を通じて大きな成長を遂げた。SX4 WRCについて体験に裏打ちされた知識を得るのと並行して、彼はドライビングテクニックを顕著に進化させた。スズキ車で過去2度世界ジュニアラリー選手権のタイトルを勝ち獲ってきたこの27歳のドライバーは「まだまだたくさん学ばなければならないことがある。だけど僕は、これ以上はないくらいに今を楽しんでいる。」と感想を述べる。彼は続けて「僕の場合、今回のイベント以前の4輪駆動車の運転経験は正直な話かなり少なくて、いくつかのラリーでグループN車輌に乗ったときと、あとちょっとしたテスト走行だけなんだ。だから、このラリーは、競技という以上にWRカーのスピードやトラクションのかかり方に体を慣らしたりする学習の場になった。SX4 WRCも僕も、まだ成長する余地がある。」とSX4 WRCについて語り、更に「初めてのWRCで真新しいSX4 WRCに乗ってポイントを獲得できたことは信じられないくらい嬉しい。僕にとって今回のポイント獲得は、次のラウンド、つまり僕のホームイベントのスウェーデンを走るための切符みたいな意味があるからね。今はすごく前向きな気分になれるよ。」と次戦への意欲を述べた。

自身にとって9度目のラリー・モンテカルロ参戦を迎えた32歳のベテランドライバー、フィンランド出身のトニ・ガルデマイスター選手は、今回リタイアを余儀なくされながらもスズキ・ワールドラリーチームの一員としてのWRCデビューを喜んだ。彼は「運悪く遭遇してしまったいくつかの問題さえなければ、僕らはここで十分にポイントを狙えたはずだ。スタートのときからそう思っていたし、実際チームメイトのP-Gは彼の持ち前のドライビングセンスを活かしてそれを達成した。」とリタイアの悔しさをにじませながらも「SX4 WRCが可能性の塊なのは明らかだから、それの開発に関わっていけるのが本当に嬉しい。ついにシーズンに突入したから、僕らはつねに車輌を進化させるための努力をしていなければならない。」と自負を覗かせる。さらに、「次のラリーはスウェディッシュで、これは僕の大好きなイベントだ。もし最適なリズムが見つかれば、本当に好い結果が出せると思うよ」と次のラウンドに向けた抱負を語った。

今回のイベントは、昨年末新しく組織されたスズキ・ワールドラリーチームのおよそ120名の関係スタッフが初めて力を合わせて臨んだ実戦であった。2台体制での参戦を率いるのはチーム・プリンシパルの「モンスター」こと田嶋伸博を筆頭に、チーム・ディレクターの粟津原豊、テクニカル・マネージャーの稲垣秋介、そしてチーム・マネージャーの川田輝という面々だ。田嶋伸博は今回のイベントについて笑顔を見せ、次のように語った。

「今回のラリーはスズキの世界選手権という夢への挑戦の第一歩という意味で私たちにとって極めて重要なイベントでした。P-G選手とトニ選手には、素晴らしい仕事をしてくれたことに心からお礼を言いたいです。P-GのWRカーでのWRC初参戦イベントにおけるポイント獲得には非常に驚き、同時にとても嬉しくなりました。トニ選手に対してはとても申し訳なく思っています。彼は本当に申し分のない仕事をしてくれていましたから、彼にリタイアを強いてしまい非常に心苦しかった。また、ドライバーだけでなく、チーム全体が本当に良く頑張りました。今回ポイント獲得という目標を達成できたのは、何より全員が一丸となって真剣に取り組んできたことの成果ですよ。もちろん喜んでばかりはいません。スズキのフィロソフィーとして、常に前を向いて進んでいかなければなりませんからね。もうラリー・モンテカルロは終わり、思い出の仲間入りをしています。今度私たちが照準を合わせるのは2週間後に迫っているスウェディッシュ・ラリーです。スウェーデンでも目的は変わりません。挑戦し、ポイントを獲得することです―できれば2台とも。それが簡単なことではないのは承知しています。成功への道は大概険しいものですから。ですが、最大限の努力をします。今回成功の可能性が小さくないことは実証されたと思っていますからね。とはいえ、今回は本当に素晴らしい成果でした。あらためて、スポンサー各社も含め、全員におめでとうと言いたい。」



日付
SS 15
SS 16
SS 17
SS 18
SS 19
デイ 4 - 合計
1/27(日)
19.37
25.36
21.66
19.37
25.36
69.65

Pos.
Driver
Manufacturers
Time
1
セバスチャン ローブ
3:39:17.0
0.0
2
ミッコ ヒルボネン
3:41:51.4
+2:34.4
3
クリス アトキンソン
3:42:15.6
+2:58.6
4
Francois Duval
3:42:16.7
+2:59.7
5
ペター ソルベルグ
3:43:57.9
+4:40.9
6
ジジ ガリ
3:48:03.5
+8:46.5
7
Jean Marie Cuoq
PEUGEOT
3:49:41.8
+10:24.8
8
P-G アンダーソン
3:50:36.5
+11:19.5

 
   
 
 
 
 
 

 

Rd.15 GB
MORE>>


Rd.15 GB
デイ3
MORE>>
 
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
   
 
 
 
 
  伝説の舞台 ウェールズ
MORE >>
  ラリー・ジャパン パドック編
MORE >>
  トニ選手と、P‐G選手のジャパン・ツアー
MORE >>




#10 メカニックの素顔:ステファン・エリクソン
MORE>>


#09 メカニックの素顔:エサ・ハッキネン
MORE>>